《MUMEI》

皆の視線が今度は私に集まる。



「椎名くん、すごーい!!」


「普通できないよねー!!」



きゃあきゃあと騒ぐ女性陣。
―…みんな、ミーハーなんだから…


どう反応すればいいのか分らなくて、
私は苦笑いを浮かべるしかなかった。


すると、



「おらー、席つけー」



やる気のない声。


担任の、『まっすー』こと増川先生だ。


その声に、騒いでいた皆がさっと散らばる。



「あ、まっすー!ちょっと!!」



瀬田くんが声を上げる。



「…なんだ、純」


「あんね、みつるが善いことしたからさぁ、
この前の理科の赤点チャラにしてやってー!!」



この提案に、椎名くんが声を上げた。



「ばッ…瀬田、お前―…ッ!!」


「へ??…どーしたの、蓬田さん…」



不思議そうに訊ねる瀬田くん。



「え!?…あ…なんでも、ない…」



椎名くん、また自分が私の姿してるってこと忘れてる…



「…んー…」



頭をかく先生。



「ねー、いいでしょ!…ホラ、みつるも何か言えよ!!」



私に目配せする瀬田くん。


…そ、そんなこと言われても…

私がおろおろしていると、



「んー、それとこれとは別でしょ。
…まあ、内申はチョロっと上げといてやるよ」


「…だってさ、みつる!少しはいーだろ!!
…お前の点数、凄まじいもんな!!」



そう言って笑う瀬田くん。


…そ、そうなの!?



椎名くんのほうを振り返ると、

椎名くんは、頭を抱えて机に突っ伏していた。



―…ホントっぽいな…

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫