《MUMEI》
いただきます
「え? そんなこと」
「あるのだ。あ、私のことも呼び捨てでいいのだ」
 そんなに分かりやすく豊澤さんを見ていただろうか? そんなことを考えているとまたみかんが話かけてきた。
「ところで史ノ乃くん、呼び捨てってなんなのだ?」
 
 
 ――田舎の授業はとてものどかだった。都会での生き急いだ授業ペースのおかげで、史ノ乃はこっちの授業を比較的楽に進めることができたのだが、
「史ノ乃くんここがわからないのだ、あとここも。こことここも」
「どれどれ? あーここはこう。そっちは、うーん……こうしてこう」
「わけわかんないのだ」
 さっきまでの元気なみかんはどこへいったのか、机に突っ伏してシャープペンを咥えている。
「史ノ乃くん頭良いんだね」
「そんなことないよ。前の学校でちょっと先に進んでただけだし」
 豊澤さんに褒められ少し恥ずかしくなった史ノ乃は、照れ隠しに後頭部をポリポリと掻いた。そんな史ノ乃を見てみかんは自信満々に頷いた。
「決めたのだ」

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫