《MUMEI》
わがままな贈り物
深い闇の中でザルエを呼ぶ声が聞こえてくる

「ザルエ…」

「誰だ…姿が見えない…」

「ザルエ…後ろをみてみろ…」

ザルエは後ろを向くと翠の瞳と白き髪を持つ男の子が立っていた…

「ルキルス…」

「オゥ!」

「何でここに!死んだはず!?」

「まぁ…俺の身体は死んだことになるなぁ〜」

ルキルスはとぼけた顔でいった

「…ククッ…」

「笑うなんて…ひどいなぁ〜」

「お前…変わってないな…」

ザルエは笑いをこらえながら言った

「ザルエ…お前に渡すものがある…」

ルキルスは真剣な眼差しでザルエを見つめた

「渡すもの?」

「そうだ…」

「なんだ?」

ルキルスは胸に手を当て自分の中にある翠の結晶を取り出しザルエに渡した…

「これは…」

「もう…一緒にいることも助けてやることも出来ないからな……」

「…………」

ザルエはかける言葉が無く涙を流しながら俯くしかなかった…

「泣くなよ…お前がしっかりしないと誰がウールを守ってやるんだ?」

ザルエは涙をふき顔をあげてルキルスから翠の結晶を受け取った…

「ありがとな最後のわがまま聞いてくれて」

そう言ってルキルスは消えてしまった……

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