《MUMEI》
新たな事実
のんちゃんの電話を切ってから、また寝てしまった。
そして目が覚めたのは夕方の4時。



ヤバッ!
6時からバイトだった。
急いで用意しないと。






店に着いて更衣室に駆け込むと先客が一人いた。


「新人さん?」


先客である女性から聞かれた。


「大谷です。よろしくお願いいたします。」


イビられたら大変だから、きちんと挨拶をした。


「私も先月からやし…まだ新人なんです」


彼女は阿倍リナさん。
よくよく話をしてみると、同じ大学の法学部で、しかも同級生だった。


「大谷さん、経営学部ってことは…、鈴木君って知らん?」


経営の鈴木って言ったら、あの鈴木しかいないよね…


「鈴木…貴司?」


「下の名前は知らんねんけど、私の友達がいろいろあったみたいで…かなり男前なんやろ?」


あいつは法学部まで…。


「男前かどうかは分からないけど、かなりモテるとは思うよ…」


美樹子も最初は、鈴木のことをカッコいいと思ったことは言わなかった。


「そうなんや。私も会いたいって友達に言ってたんやけど、なんかダメになったみたいで…」


もしかして詩織さんと話し合いした子かなぁ。


「いつぐらいの話?」


気になるし聞いてみた。


「たしか7月くらいやったかなぁ…」


7月?
って試験期間じゃん!
詩織さんの話し合いは試験前だったから…


「お友達…鈴木にもて遊ばれたってこと?」


「結果的には…」


鈴木、最悪!!!
浮気しないとか誠意とか言ってたくせに。



………。


てか、なんでこんなに私が怒るんだろ?

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