《MUMEI》
僕の名前ですか?
***

「はい」

ちょっとビックリしながら振り返ると

女の子は

椅子から

ピョコンと降りて

僕の目の前で

しゃがんだ。

「ね、お名前、何ていうの?」

「え」

お客さんに

名前を聞かれたのは

初めてだった。

僕が

どうして

ここで働いてるのか

とか

そういう事じゃなくて

全然違う事を聞いてきたから。

「僕の名前ですか?」

「うん」

女の子は

興味津津に

僕を見つめた。

***

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