《MUMEI》

そしてまた場面が変わった。

当主の間にいたのは、当主と神尉と神楽の三人の『守護神』だった。

…あれ以来、神楽は『守護神』の屋敷から離れの一室に、移った。

二十四時間監視付きで。

「「御鏡?」」

神尉と神楽が初めて聞くその名前に、同時に首を傾げた。

当主は、頷いた。

「この国を守るもう一つの一族だ。

予定より遅くなってしまったが、これからお前達を紹介に行く」

本来なら、目覚めてすぐ挨拶に行くところだが、神尉は当時まだ幼く、その後の素行の悪さが目立ち、『成人してから』と、当主が決めていた。

神楽は、力が安定したのがごく最近だったので、神尉と同時にすることにした。
「くれぐれも、粗そうの無いように。…特に、神尉」
「何で、俺?」

「あちらの、当主は女性だ」

その言葉に、神尉の目が光る。

「…七十だがな」

そして、今度は肩を落とした。

それから、三人は御鏡へ、神尉の風に乗って向かった。

場所は、『守護神』以外には、同じ御剣一族でも知らないという山奥の秘境だった。

結界が貼ってあり、近隣の住民には、屋敷は見えていないらしい。

「あのさ…」

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