《MUMEI》

神尉は素朴な疑問を口にした。

「俺がいなかったら、どうやって、ここに…

来ているんですか?」

慌てて口調を改めつつ、神尉は当主に質問した。

「結界の境目まで車で行って、そこから入る。

ただし、ヘリと併用したとしても、かなりの時間はかかるがな」

当主の説明に、神尉は納得した。

「お待ちしておりました、御剣の方々。当主がお待ちです」

三人は、使用人の案内で、屋敷の中に入った。

使用人…といっても、ここにいるのは全て御鏡の血縁者らしい。

屋敷の間取りは御剣家のものと同じ…というか、そっくりだった。

三人は、御鏡の当主で『守護神』の老婦人と当主の間で対面し、形式通りの堅苦しい挨拶を済ませた。


後は、帰るだけだった。

その時。

「ただいま戻りました」

入口から、若い女の声がした。

「ゆき?!」

聞こえるはずもないのに、神は叫んだ口を押さえた。
そして、神尉が、鳴神が見つめる人物を、目を見開いて見つめた。

そこにいたのは…

まさに、ゆきに瓜二つの

ゆきの母親

御鏡神那だった―

これだけそっくりなら、あの御鏡での反応も納得できた。

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