《MUMEI》 「ご苦労様。…下がりなさい」 「はい。 失礼いたしました」 神那は御鏡の当主と、客人である三人に一礼をして、部屋を出ようとした。 「待って!」 慌てて神尉は神那を呼び止めた。 神那の足が止まった。 「君は?」 神尉は神楽や御剣の当主が止めるのも聞かずに、神那に歩み寄っていった。 神那は無言で、御鏡の当主を見つめた。 「申し訳ありません!ほら、神尉!帰るぞ!」 「何故です?」 「いいから!」 また悪い病気が出るのを、御剣の当主は心配していた。 神那は、神尉が好みそうな美少女だった。 「…わかりました」 せっかくこんな秘境で、こんな美少女に会えたのにと、思いながら、神尉は渋々と従った。 そんな神尉の後ろ姿を見つめながら、神那はポツリと呟いた。 「つまらなそう…」 ―と。 「え?!」 神尉はその言葉に振り返ったが、そのまま二人に引きずられていった。 『つまらなそう』 その一言が、気になって仕方なかった。 前へ |次へ |
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