《MUMEI》
優越感
「あいつはもうーっ」


プリプリ怒っていると


「大谷さん、鈴木君と仲良いんですか?」


と、聞かれた。


「仲は良いよ。よく遊んだりするし」


この間のんちゃんたちの前で、あれだけ否定したのに・・・
まったく関係のない第三者に対しては鈴木と仲が良いことを自慢したかった。


リナさんが、


「そんなん友達が聞いたら絶対に羨ましがるわ」


と、言い。
なんとなく優越感に浸って・・・


「私から鈴木に注意しておくわ!」


なんて、えらそうに言ってしまった。


「あ、でも・・・友達は鈴木君の男友達に相談してるみたいやし・・・大丈夫やと思う・・・」


男友達?


「誰だろ?私の知ってる人かなぁ・・・」


鈴木について自分が知らないことをリナさんが知っていると思うと悔しかった。


「法学部の子やし、どうやろ・・・タツヤ君って言うねんけど・・・」


残念!タツヤ君は知らないわ・・・悔しいけど・・・


「なんだ、経営の男の子かと思った」


知らないと言うのが嫌で、経営の子なら全員知ってる風な口ぶりで答えた。


「鈴木君って、最近はどんな?」


リナさんは友達に鈴木の近況を伝えたいのか探りを入れてくる。


「どんな?って言われても・・・普通・・・」


あまり積極的に教えたくないと思った。


「彼女とか・・・」


「昔からの彼女がいるよ・・・」


鈴木の彼女の話題になり、優越感が少し揺らいだ・・・



結局、私は友達ではあるけど、一番身近な存在ではないもんね・・・

もし・・・ここで私が鈴木の彼女だったら、すっごい気持ちいいんだろうな・・・



「そっかぁ、彼女・・・おんねや・・・」


リナさんが悲しそうな顔で言った。

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