《MUMEI》

そう言ってくれるのは、神那だけだった。

どうでもいい女達と体を重ねるより、神那と話をする方が、何倍も癒された。

それに、神那を抱き締めたいと思う一方で、このままの関係を大切にしたい気持ちが神尉にはあった。

「また来るよ。おやすみ」
「…おやすみなさい」

そして、二人に、運命を大きく左右する瞬間がやってきた。




それから数日間、神那は離れには姿を見せなかった。
疑問を感じながらも、神尉は御鏡に通い続けた。

そんなある日。

「君、は…?」

いつも神那が立っていた場所に、神那より幼い少女がいた。

「私は、神音。神那お姉さまの、妹よ」

神音は、神尉に向かって言った。

「お姉さまは、御鏡の『守護神』に選ばれたの。

当主になるの。

だから、あなたとは二度と会わないわ」

―と。

「…どうして?」

『二度と会わない』その言葉に、神尉は愕然とした。
「同じ『守護神』だろう? どうして?」

「あなたとお姉さまを一緒にしないで!」

神音が神尉を睨みつけた。
「御鏡の『守護神』は、若いうちは男と接してはいけないの!

綺麗なままでいなければいけないから」

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