《MUMEI》

「本当に、恋愛初心者なのね」

神那は小さな子供を見るような目を神尉に向けた。

「そういう時はね、一言…二言でいいのよ」

「そうなのか?」

「そうよ。 …神尉は私が好き?」

「好きだ」

神那の質問に、神尉は即答した。

「私を、愛してる?」

「愛してる」

「よくできました」

神那は優しく神尉の頭を撫でた。

「わかりにくいのよ、あなたの言い方は。

私が色が見えたからいいようなものの、あのまま無理矢理抱いてたら、犯罪者よ」

「そうなのか?」

「当たり前よ、無理矢理だからね」

神尉は深く反省した。

そして、神那に恐る恐る質問してみた。

「…今は?」

「そうねぇ、…ねぇ、神尉。神尉がいなくなったら、御剣はどうなるの?」

「妹が継ぐ」

実際、自分より有能な神楽の方が当主にふさわしいと、神尉は思っていた。

「そう、実はね、私にも有能な妹がいるの。

神音にはもう会ったでしょう?」

神尉は頷いた。

「じゃあ…」

「仕方ないわね」

神那は神尉に優しくキスをして、言った。

「国ではなく、あなただけの『守護神』になってあげるわ」

―と。

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