《MUMEI》 そこまでで、視界は真っ暗になった。 『お前は間違えた』 しゃがれた老人の声に、神は振り返った。 そこには、金色の狐がいた。 「お前、鳴神か」 『いかにも』 鳴神は、続けた。 『お前が自分の過ちに気付きそうもないから、主の記憶を見せたのじゃ。 主とお前は似ている。 じゃが、神那様と姫は違う。 姫は、純粋じゃが、色恋沙汰に鈍いところがある。 お前の淡き恋心があっても、見間違いじゃと思いこむし、お前のあの若造に対する嫉妬も、何故怒っておるのかと理解できておらんかった。 それに、…あの部屋で姫を襲ったのは、最大の失敗じゃったな』 「あの時は…」 ただ、晶に邪魔されたくなくて、神は必死だった。 もし、他の場所だったら、ゆきは気付いたかもしれない。 自分に対して神が『桃色』―『恋心』を抱いていた事に… しかし、…全て遅かった。 神那が『一生許さない』と言っていた行為を、神はゆきにしてしまったのだ。 「…どうしたらいい?」 『これを見て、自分で決めるがいい』 そして鳴神は、ゆきが生まれてから今まで見てきたゆきと晶の姿を神に見せた。 前へ |次へ |
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