《MUMEI》

      刀@  




ジィリリリリリリッ!!!

「…んにゃ〜……もぉうっ………。」


ガチャ。

ある少年が、寝癖の立っている頭をかきながら目覚まし時計を止めた。



「……朝から嫌な夢見たな…。」

少年は何にもない天井をただ見つめながら、そう言った。

しかし、カーテンから透けて入る日光が眩しく、少年はまた横になった




〔俺の名前は、 琴村 香弥。〕



「……………………。」



〔綾松高校 の三年、
『ディスカる十団』の
第二公団団長。〕



「香弥ちゃん、そろそろ学校の時間じゃないの?」

と言って祖母がいきなりドアを開けて入って来た。




「……何言ってんだよ、ばあちゃん…。毎日6時から学校あったら、俺もう不登校になるよ……。」

と、祖母がいきなり入って来た事に少々焦りながら、ついさっき止めたばかりの時計を手に持ちながら少年は言った



〔守護者名は、『来陽(ウェンティア)』

で、守護者名とはディスカる十団の『ぱぁらでぃん』と言う隊員のコードネームである〕




「でも香弥ちゃん、おばあちゃんの携帯電話の時間は八時前なんだけれど。」


そう言い終わると、祖母はポケットから自分の携帯電話を出して見せた




「あ、アレ、本当だ……!! なんか目覚まし時計……、時間遅れてるんだけど!!!」




〔そして、ディスカる十団とは、平和 維持組織『ディスカルト・アエイン十字師団』 の略で、三十四年前に確認された生命体、ラグナロク を監視、掃討するのが目的であり、〕



「ちょっ!!! 本気(
マジ)でかっ〜〜!!!」


〔ディスカる十団の団には、まず正式師団 聖団 と、
準師団の 公団 があり、

公団は、第五公団から第一公団があり、 第一公団で高い実績を残すと、晴れて聖団に入団出来る。〕



「ばあちゃん!!なんで起こしてくれなかったんだよ!!!」
そういいながら、少年は急いで制服に着替えだした



〔聖団は、第七聖団から第一聖団まであり、第三聖団から第一聖団までのことを、『辰爍(しんらく)(ムクエル)』と呼び、その騎士達のことを、『辰爍の使徒(ムクエル・ファランティア)』と言っている。〕




「ごめんね、香弥ちゃん……。もう香弥ちゃんは学校に行ったんだと思っててね……。」

祖母はエプロンで手を拭きながらそう言った



「だから、その……あ〜〜……、もういい!!」



そういうと、少年は鞄を持ち走りだした。



「あぁ、それと今日はお弁当を作ってないからお店で買ってきてね。」

と、隣を走り抜ける少年に祖母が言った。



「なぬ〜〜〜!」

少年が驚愕した顔で、言葉にならない叫びを言った。


(高校が始まるのは八時半……。高校まで自転車で約二十五分で、さらにコンビニに寄らなくてはならないから………。)

少年は食パンを食わえて、玄関に向かって走りながら色々模索していたが、最終的に結果は……、

「遅刻……?」

ただでさえ蒼白していた少年の顔からますます血の気が引いていった。


「ディスカる十団第二公団団長が、遅刻などそんな馬鹿な事があってたまるかっ!!!」


そう叫びながら、琴村は自転車にまたがり春風をきった。





朝日に照らされた少年の頬は黄金色に輝いていた。

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