《MUMEI》 痴話喧嘩から殺人騒動…いい加減同じ格好のまま止まってるのに体がイライラしてきた…まだ…終わんねぇのか… 季紫は未だに止まったまま目の前の天使と魔姫の現実味バリバリ痴話喧嘩トークを聞き続けていた。 テレビでは最近在った一家殺人のニュースが流れている、夫以外の妻と子供が殺されたらしい。 季紫は横目でそれを見ながら、 …そういえばテレビつけっぱだった、電気代大丈夫かな… などと呑気に考えていると不意に玄関のドアが吹っ飛んだ。 「もう!!なんで分かってくれないの!!?付き合ってくれてもいいじゃない!!」 「だから…まだ俺君と会って30分もたって無いじゃん!?」 「時間なんて関係無い!」 今度は窓が全て吹っ飛んだ。 「!!?」 季紫はいきなりで何がなんだか解らなかったが、とりあえず魔姫の方が怒るにつれて家が壊れていくのは分かった。 「ちょっ!!まて!!家壊すな!借りもんだぞ!?喧嘩なら他でやれ!!」 そんな季紫の言葉虚しく、家は水が流れるように壊れていく。 「何よ!!何よ!!何よ!!?一体何が悪いの!?私が魔族だから!?だから付き合ってくれないの!?」 今度はテレビが粉々に、ニュースキャスターの声は虚しく虚空に消えた。 季紫は即座に思った。 …ヤバい!!…このままじゃ…高校生ホームレスの完成になる…!?つかそれ以前に…物がコワサレル…それ誰が払うの?… 早く何とかしなきゃ行けない気持ちと会ったばっかりの自称天使と魔姫というトンデモカップルに対する怒りがわいてきて─────── その怒りは"もう一人の自分"を呼び起こすのには…充分だった。 パキン バチチチッバチィッ パリッ バキン! 不意に乾いた音が快楽とミスアの耳に届いた。 音を辿ると…そこには固められていたはずの少年が大きなあくびをしていた。 「あぁふ…あー…久しぶりに楽しい事があったのか?…まあいいや、ところで…アンタらは覚悟は大丈夫か?」 「?何を言ってるの?…というか…"あなた誰"?」 ミスアが混乱したのは単に口調が違うからではない。 髪の色、口調、そして一番違ったのは"雰囲気"と"威圧感"だった。 快楽もミスアと同じ思いだった、自分がかけた術が解かれた事にも驚いたが、少年がいきなり見た目がガラリと変わったことにも驚いていた。 髪は黒から白と赤のマーブルに、口調はまともだったが全体的にふざけた感じに、 そして、雰囲気は…さっきは警戒はしていたがあまり敵意はなかった、だが今は、確実に敵意があり、さらに本人は普通に喋っているが。 そこには"圧倒的な殺意"と誰もを縮こませる"完全な威圧感"が滲み出ていた。 そして、二人が動けないのを知ってか知らずか、 目の前の季紫だった奴は絶望的で意味不明な言葉を呟いた。 「初めまして…だな?俺の名前は緑妖死鬼!神と魔王に"会ったことがあり"さらに神と魔王に勝った男だ!冗談と思うならそれでいい!!負ける気はしない!…さあ…壊した分のオトシマエ…つけてもらおうか?」 絶望の…始まりだった… 前へ |次へ |
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