《MUMEI》 「お前は『当主の許嫁』だろう? その『神』は、俺と違ってお前に優しいぞ?」 その言葉に、翔子は恐る恐る『神』を…金色の男を見つめた。 彼は、今まで神が向けた事のない、とろけるような、魅力的な笑顔を翔子に向けた。 途端に、翔子の顔が赤くなった。 翔子が好きなのは、『当主』で『強く』て、『かっこいい』神だ。 当主の役目を放棄し、ゆきという他の女に尽そうとする神より、新しい『神』の方が、翔子には魅力的に映った。 「…これで、何も問題無いな」 神はそう言うと、当主の間を後にした。 神は、自分の名を、当主という立場を全て『姫』であった者に与えた。 自分は、これで、死んだも同然。 神は、自分を殺した。 そして、神は… これからは、自分が『晶』となり、ゆきを守ると誓った。 これが、過去の夢から覚めた神の決意だった。 前へ |次へ |
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