《MUMEI》
否定
私が鈴木に惚れてる?


「ちょっ、ばっ、もうっ!やめてよー!私が鈴木のこと好きになるわけないじゃん!!」


いつもの調子で否定。

が…大ちゃんには素直な気持ちを言いたい気がした。



「でもね…」



一言発して躊躇した。



まてよ…

よく考えたら大ちゃんって詩織さんと幼なじみなんだよね…?


鈴木のこと、少し気になるなんて言えないよっ!!




「でも、何?」


大ちゃんが急かすように聞いてくる。


もうこうなったら誤魔化すしかない…


「でもね…友達としては好きなんだ」


それを聞いて大ちゃんが驚いたように、


「鈴木も同じこと言ってたよ!」


え!同じこと?


「お前らすげぇな!二人とも同じこと言うなんて」


実は同じじゃないし…


「男女の友情なんてあり得ないって思ってたけど…お前らならあり得るな!」


友情とか、ありえなくていいんだけど…


嬉しそうに言う大ちゃんに苛立ちながら、適当に笑って話を合わす。


「鈴木が私のことを女として見ないから成立するんだよねー、きっと…」


そう言いながら、そんな事実を認めたくなかった。


「ねぇ、大ちゃん…」


声のトーンが下がる。


「私ってそんなに色気がないのかな…」


思わず聞いてみた。

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