《MUMEI》 張り込み〜洋平・美樹side〜警察署に着いた洋平と美樹は、一旦ぐるっと辺りを見回した。 すると、二人の目に一軒の小さな喫茶店が映った。 「あ、ねぇあそこなら大丈夫じゃない?」 「そうだな。あそこなら署の入口見えるだろうし、気付かれにくいかもな。 それに、何より涼しそうだ。」 真夏の午前中は暑すぎる。そんな中でずっと外にいたら、熱中症に成り兼ねない。 既に汗だくの二人は、涼を求めて喫茶店へと急いだ。 カランカラン… 「いらっしゃい。」 何の装飾もされていない、殺風景な扉を開けると、 独特の鐘の音と、老人のしゃがれた声が二人を出迎えた。 「涼しい〜。」 入った途端、洋平は思わず声をあげた。 店にはまだ客は居ず、席は全て空いている。 二人は迷わず窓際の、最も署が見える席へと向かった。 チラリと横目に入ってきた店の時計は、もう八時を指していた。 「目、離すなよ。」 洋平の言葉に美樹は深く頷くと、再び外に視線を向けた。 前へ |次へ |
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