《MUMEI》

着替えて、酒井さんにお茶を出す。
彼女は遠慮して飲むことをしない。


「どうやって調べたの?」

俺の今の住所を知る人は限られる。

「寿史君が教えてくれたの。」

教えたつもりは無かったのに何時漏洩したのだろうか。


「……二人、婚約してるの。」

声をひそめて酒井さんは言う。

「――――――だから、俺にどうして欲しいの?」



「――――え?」

そうさ、俺に何が出来ようか。
止める資格なんか無いんだ。

「俺ね、結構軽度だったから。もうビョーキ治ったんだよ?」

酒井さんの耳元で囁く。
スカートの裾に手を入れる。



「      いやっ!!」


お茶は俺にぶっかけるために飲ま無っかたのかもしれない。

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