《MUMEI》
強引な計画
バイト先の更衣室に入ると、今日もリナさんがいた。


「おはよう。今日も一緒やね」


リナさんから声をかけてきた。


「さっき入り口で浅井君にフライヤー?っていうのをもらったんだけど・・・」


美樹子は店の裏口で浅井君からイベントのチラシを友達に配って欲しいと頼まれていた。


「あぁ〜、美樹子さんも言われたんや?」


リナさんは美樹子さんと呼ぶようになっていた。


「じゃぁ、リナさんも?」


「うん、もう何回か・・・でも一回行ってからそれっきり」


「楽しくないの?」


誰か誘って行きたいんだけどなぁ・・・


「うーん、人それぞれちゃう?ていうか浅井君らのイベントって、すんごい個性的な人らが集まってくるから圧倒されんねん」


な、なるほど・・・


「そんな中に入ったら地味すぎて浮いちゃいそう・・・」


「そやねん!せやし私はもう行かへん」


リナさんはそう言った後、少し間をおいてから続けた。


「でも美樹子さんは最初やし一回くらい行ってみたら?」


自分は行かないって言いながら私には勧めるんかいっ!


「興味はあるけど・・・そんなん聞いたらちょっと・・・」


「鈴木君とか誘ったら?」


勝手に私が誘う人を決めないんで欲しいんだけど・・・


「私も鈴木君に会いたいし」


さっき、あんた行かへんって言ったじゃん!


「あ!私のこと鈴木君に言うてへんよね?」


「いや、言ってないけど・・・」


一体、何を気にしてんだろ?


「ほら、友達がいろいろと嗅ぎまわってるって思われたら可哀想やし・・・」


あぁ・・・そういうこと。


「それじゃ美樹子さんは鈴木君とイベントに行って、私とは現地で会おう!」


だから勝手に決めないで欲しいんだけど。


「くれぐれも私が鈴木君に会いたがってるって言うたらあかんで!!!」


うざっ


「でも鈴木を誘っても来ないかもしれないよ」


「そこを頑張るんが美樹子さんやろ!!」


なんで私が頑張るんだ?
あんまり気は進まないけど・・・


「まぁ、声はかけてみるけど・・・」


「うっわー、めっちゃ楽しみ♪また報告待ってるで!」


リナさん、どんだけ強引なの!

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