《MUMEI》
花
「何?これ…」
「見たまんま!花!」
玄関開けた瞬間妖怪が立っていると思った。
顔が花盛りで躰が人間。
ばっと花盛りを差し出されて顔が現れ、漸く只の人間だと理解した。
「王子から姫にプレゼントです!」
「はあ…、あっそう、まあ、有難う、入れば?」
内藤はお邪魔しま〜すとご機嫌で入ってきた。
俺はインスタントコーヒーを出してやる。
内藤はあぐらをかきながらコーヒーを大人しく飲みだした。
籠に盛られたなかなか豪勢な花盛り。
母の日なんかにスーパーで売ってたやつに似てる。
いや、それより豪華そう…、
見たことない高そうな花が紛れている。
「花瓶なくてもそれならって思ってさ」
「ビンゴ!花瓶持ってないからこの方が嬉しい」
何処に置こうか持ったままキョロキョロ。
「あ、それ水要らないやつだからさ、何もしないでね」
「え?これ本物の生花じゃないの?造花!?」
「今は生花みたいに加工したドライフラワーもあるんだよ、綺麗だろ?」
結局テーブルに置いた。
「うん、綺麗…、この青いカーネーションみたいなの特に…」
珍しくてよーく見ちゃう。
和むなあ、俺、
花好きだったんだ〜。
「良かった、喜んで貰えて」
「…うん、有難う」
「今日は素直だな」
「そう?何時も俺は素直だけど?」
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