《MUMEI》
色気とは・・・
結局、電話から一週間後に木屋町作戦は実行されることになった。


鈴木とは阪急百貨店の前で待ち合わせをしている。


「遅い!!!」


「ごめんごめん、ちょっと遅刻しちゃった」


どの洋服を着るか迷いに迷って遅刻してしまった・・・
しかも化粧も念入りにしてきた。


「なんかお前、今日化粧濃くないか?」


「え?そう?アイシャドウかなぁ・・・」


この間、大丸の化粧品売り場で買ったばっかりのアイシャドウなのに濃いだなんて・・・。
女磨き失敗!?



「とにかくお店に行こう!ちょっと行ってみたい創作料理のお店があるんだ」





店に入り料理を数品ほど注文してからトイレに向かった。


実はリナさんと店を出たあたりで、偶然を装って合流することになっているため、逐一メールすることになっていた。


席に戻るとビールが運ばれていた。


「じゃ、乾杯しようぜ」


カンパァーイ


「お前、結局ビール飲むんだな?」


「うん、最近はビールばっかり・・・」


最初はあんなに苦いと思ったビールも、慣れると大好きになってしまった。


「おっさんだな」


また暗に色気がないと指摘された・・・


「ねぇ、前から気になってたんだけど、私のどういうところが色気ないか教えて!」


この際、聞いてみよ。


「うまく言えない」


ガクッ。


「何それ!?」



「あ、でも。色気がある女の部屋はキレイだぞ。いつでも男を呼べるように。」


「どうせ私の部屋は急な来客には対応できませんよ」


憎まれ口を叩いたものの、たしかに鈴木の言うことも一理ある。


「他には?教えてよ」


なんだか楽しくて、食いついた。


「他?全部俺の個人的な意見だぞ」


「それでも良いから早く!」


鈴木は考え込んで、


「余裕があることかなぁ・・・」


なんて漠然とした回答・・・


「お前、バタバタしてるだろ、いつも」


してるかなぁ・・・


「それって落ち着きがないってこと?」


「そうとも言うかも」


ガーン!!


「だから彼氏ができないのかな・・・」


「中途半端なことばっかしてるからだよ」


「鈴木には中途半端って言われたくない!」


鈴木は少しムッとして言った。


「お前が教えて欲しいって言うから、言ってやってんのに。恩を仇で返す女だな」


「すいません・・・」


珍しく素直に謝ってみた。


「素直でよろしい・・・あ、お前、素直じゃないよな。あれも直したほうがいいぞ」


「はーい」

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