《MUMEI》
実話!?
「これ、海斗がくれたんだよ。」


「……知ってる。」



海斗は本を私からとって言った。


「もし、この本が本当にあった話だったらどうする?」


何を言い出すんだろうこの人は……。



「……どうする?って言われても。」



私は海斗から本を取り返した。


「なぁ。実はさぁ、その本、本当にあった話なんだよ。」



「は?」



私は何となく聞き返した。いや、何となくではなく、海斗が言った言葉を疑ったからだ。



「ほら、この本ってさぁ、作者の名前とか何処にも、書いてないだろ?」



そーいえば。

今まで気にした事なかったけど。……気付いてもなかったけど。



「本当に?っていうかさぁ。なんでアンタそんなこと知ってんの?」



私の質問に海斗は少し困っていたみたいだったけど、すぐ元の顔に戻って、


「秘密ッ」


って言った。

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