《MUMEI》 ------------------------------ * 「ノリスケ君、着いたよ…。ハァ…」 僕は磯野家の前に車を停め、溜め息を洩らしていた………。 ノリスケ君は、怖じ気付くばかりでちっとも仕事をしない…。 さっきだって義父さんを多摩川へ突き落とすとき、自分だけ力を抜いて押していたじゃないか。 やはりこんなヘタレに人殺しなんて無理だったんだよ。 サザエもとんだ見込み違いをしたもんだなあ…。 僕は彼への当て付けのように、車のドアを乱暴に閉めた。 前へ |次へ |
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