《MUMEI》
プロローグ
「また黙りかよ…」


「……。」


「何か言えよ」


「……。」


「なんで話し合いしないんだよ?」


「……。」


「愛加…何も言ってくれないんじゃ俺もう無理だよ」


「じゃ、終わりにする?」


「なんでいつもお前はそうやって極端なんだよ!」


「無理なんでしょ?」


「……。」


「他の女を探せば?」


「こんな関係、疲れる」


「だから終わる?って聞いてるのに…」


「そうだな。俺たち別れた方がいいのかもしれない」


「……。」


「……。」


「じゃ、そういうことで」


「……。」


「私は帰るわね。今までありがとう。さよなら。幸せになってね」



踵を返して私は歩き出す。



追いかけてきてくれる?







来るわけないか…



また恋が一つ終わった。



涙が滝のように流れ出てくる。



なんで…いつもこうなるの…



私の名前は佐藤愛加。



恋に不器用な23歳。

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