《MUMEI》
きっと大丈夫ですよ
***

カフェに

戻って来た。

扉を開けると

「お、早かったのな」

エルフェさんが

笑顔で出迎えてくれた。

「シャイリィ、とても綺麗でしたよ」

僕が言うと

エルフェさんは

懐かしそうな顔をした。

僕の隣りで

ルカさんは

何だか

不安げな顔をしてる。

「ルカさん‥?」

「‥‥またあのような事が起こらないか心配なんだ」

「え‥?」

「この街が、かつて村だった頃──シャイリィは殆ど咲いていなかった。村は地図から消え、存在を忘れ去られていた。花が枯れれば‥人々の心に闇が差したなら‥また‥起らないとも‥」

「きっと大丈夫ですよ」

「‥?」

「シャイリィは満開ですし、それに、その事は──皆さんが一番よくご存じなはずです」

「‥‥そう‥だな」

ルカさんは

やっと

ほんの少しだけ

笑ってくれた。

***

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