《MUMEI》

「8…9…」



「かと〜う…」





「10!!」





駄目だった、急にはおさまんなかった。




内藤は諦めてテーブルの下のティッシュを引き抜きチーンと鼻水をふきふき。





なーんかコイツ可愛いくね?



余裕こいてる奴らに囲まれてるせいか態度が新鮮だな。




「チュッ…」




「!!」



「残念賞」




うつ向く頬に短いキス。



内藤は俺を見つめたままフリーズ。





「…うん、ほっぺならキショくないなあ」

「…本当?」



「…うん」





内藤は頬に手を添えながら





「じゃ俺が加藤のほっぺにしたら?キショイ?キショくない?」





「うーん、どうだろ?試してみる?」




すると間を入れずグイッて肩を抱き寄せられた。


反動で内藤の胸の中にすっぽり収められてしまう。



「〜〜!!ちょっと、ほっぺただよ?ね、ないと…う」





「分かってる!ギュッてしてからしたい!好きだ、好きだよ、あー!





……、チクショウ!!やっぱ駄目だ!」




バンッ!!




「イタッ!こら!バカっ!!」





思い切り床に押し倒される。





頭思い切り打った!!




ジンジンする!



「チュッ…」




頬にそっと…短くキスされた。





ただそれだけなのに



…それだけなのに瞬間、あの時の怖さが蘇った。




「イヤっ!内藤!ヤだあ!怖い!イタイのもうヤだあ――っ!!」




「えっ?」





内藤は俺から離れびっくりした顔をしている。



「怖い!助けて…、うっ…ッ…イヤ、イヤだ…」

心が!



はりつめていた心が音をたてて崩れていく。




「加藤!!」




気がつくと俺は内藤に壊れそうな程きつく抱きしめられていた。



俺も必死にしがみついていて…、










内藤のシャツに血がにじんでいた。

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