《MUMEI》 一段分足元やっと上り切ったとこで限界だった。 すぐに最後の段に腰を下ろす。 「血が出てるじゃないか、うわ……擦れたんだな。早く言えよ」 俺より下の段差に七生がいるのは変なかんじ。 七生が俺に傅いているみたい。 「血が匂う……」 擦り切れた足を持ち上げて見られた。 鼻へ寄せて匂いを嗅ぐ。 なんの動物だろうか。 「止めろ」 踵を持ち上げる手が声が俺を労っている。 「二郎の足の裏ぷにぷにでキモチいー……。」 ぴちゃ…… 足の親指の付け根の傷口を舐められて、痺れた。 七生の舌が指の間を擦り抜ける度に傷の痛みと別の痺れがチリチリと背筋を炙り灼く。 「 ヤ 」 ドカ その、這い上がるような感覚が節々を跳ねらせて、七生の顔面に蹴り上げる形になってしまった。 反動で七生が二、三段ずり落ちる。 「……うわ、ごめん!!立てる?」 手を差し出したのを無視された。 「痛いよバカ……」 「……馬鹿は余計だ、 アッ 」 七生が爪先に唇を当てる。蹴られないようにしっかり、押さえ付けて。 「 ヤ は、ヤバイくらいに気持ちいいからもっとして欲しい……の、ヤ? アッ は、圧倒的な心地良さが堪らなくてもっとして欲しい……の、アッ?」 ―――――どっちも、おんなじじゃん…… 膝に七生の顎が乗っかって来た。 まるで犬みたいだ。 前へ |次へ |
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