《MUMEI》 その沈黙に、私は不安を募らせた。 「…」 紗己さんが、ギュッと私の手を握った。 「気を確かにもって、聞いてね、ゆき」 その口調は、真剣そのものだった。 私は、覚悟を決めて 「… うん」 頷いた。 「他の『守護神』の話では、あなたが眠っている間に、あなたの『守護神』の屋敷の部屋は消えてしまったらしいの」 「それって…」 あの部屋は、『守護神』の為に『できた』部屋だった。 (じゃあ、私は…) 「もう、『守護神』じゃない…の?」 御鏡の力だけでなく 御剣の力も あの日に 神君に、奪われた? (待って) 私は、ハッとした。 晶は、剣の分身だ。 御剣の、力の象徴の、剣の。 私の『守護神』の力が…御剣の力が無くなったという事は… 「まさか…」 (まさか、晶は) 否定してほしかった。 『側にいるわよ』という言葉を期待した。 しかし、紗己さんは告げた。 最悪の、事態を。 「晶君は、消えたの」 ―と。 その言葉が、真実だと頭ではわかっていても、私は、信じられなかった。 …信じたくなかった。 前へ |次へ |
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