《MUMEI》
救出開始
彩詩の不満の声を確認しながら、半歩、体を横にずらす。
ズドド!!
数人の体を貫通しながら「クロノ・レベリオン」がロアの真横を通る。
「ナイス、パス!!」
パシン。
軽い音と共に、その場で大きく槍を旋回、周囲を一気に制圧する。

「・・重ねられし、多重の雷は、数多の空を穿つ!戦塵の雷よ・・ここに、フォース・ライトニング!!」
少し離れた位置からの絶好のタイミングでの魔法。
ローエンとて、ハンディング程ではないが、コーリアでは有名な魔術士。
18個の雷球が浮かび、それぞれが彩詩に狙いを定め交わるように落ちる。
ズゴォォン!!
雷系第9位「フォース・ライトニング」幾つかの雷球を呼び出し、一斉に叩き込む事で破壊力を格段に上げている魔法。複数の敵を相手に使用する事も可能だが、単体相手に使うときが最も破壊力が高い。
なお、雷球の数が100を超えると禁呪と同等の破壊力となる。

「・・・派手にやるとは言ってたケド。」
「全力ですね。」
ハンディング達が突撃してからしばらくの間を空けて、密かにロゼを探すリースとリアム。
「あ〜・・タブンあそこだと思うんだけどさ、リースってロゼ陛下の顔知ってる?」
数台の馬車に兵が見張りに付いている。
セイが奪還に来たため、警備は厳重になり、馬車に乗せられている上、全員縄で拘束されている。
「・・・とりあえず、全員助ければ。」
しばらくの沈黙の後、答えるリース。
「それしかないね。」
うんうん、と頷くとシルフィールドを構える。
「リース、無茶しないでよ。使い慣れた武器じゃ無いんだし・・」
リースが構えているのは、守護騎士が使っているのと同じ槍。
「クロノ・レベリオン」をロアに渡したため、守護騎士団から借り受けた槍。
「解っている・・つもりだ。」
市販されている物よりは質は良いのだが・・・魔力を籠めすぎれば簡単に砕ける。
「私が道を開けるから、捕まっているヒトの救出頼んだよ。近衛騎士なら十分戦えるだろうしね。」
ヒュ!!
シルフィールドを投げ放つ。
ドサ、ドサ・・
「何者だ!!」
数人は反応する事さえ出来ずに死んでいったが・・流石に気づかれる。
直後、隠れていた場所からリアムがゆっくりと兵達の前に進み出る。
「侵入者だぞ!!」 「捕らえろ!!」
「はい、こんばんは。皇帝陛下、返してもらいに来たよ!!」
周囲から次々と兵が集まってくる。

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