《MUMEI》 「…」 相変わらず、晶は喋らない。 「…怒ってるの?」 私のせいで力が無くなったから。 「必死で抵抗したのよ?」 私なりに、力一杯神君を拒んだ。 …でも、敵わなかった。 「ごめんなさい、晶」 頼りない主で。 「…嫌わないで」 気付くと、私は泣いていた。 「側にいて、…お願い」 必死で頼んだ。 「お願い、…お願いよぅ…っ…何とか言ってよぅ…っ…」 私とは、口もききたくないのだろうか。 私が頼れるのは、晶だけなのに。 全く無反応な晶の両足に、しがみついて、私は泣き崩れた。 「…ゆき」 「紗己さん、晶が消えたって… 私の事好きな晶が消えちゃったって事だったの? 晶、何も言ってくれないの。 私、どうしたらいいの?!」 私は紗己さんの声が聞こえた方向に向かって叫んだ。 「ゆき。 …晶君と、二人で話をさせてもらえる?」 「? 紗己さんが、晶を説得してくれるの?」 私の質問に、紗己さんは、何故かため息をついた。 「えぇ。だから、ゆきはここで大人しく待っててね。 まだ、起きたばかりなんだから」 前へ |次へ |
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