《MUMEI》

「……俺、レイとは何でもないよ。」

本当に何にも無い。


「レイは貴方を待っているんじゃないかしら……」

酒井さんがドアノブに手を回しているとき、目が言う。

「――――――レイは入院してるわ……」

ざっくりと、胸元を裂かれたようだった。


「……エ?」

……そんなことは、聞いていない。
レイは確かに最近来なくなったけれど、電話が来ていた。
だから、今までと変わらないと思っていたのに。

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