《MUMEI》
皇女と剣士
「誰だか知らないけどありがと!!」
禾憐が縄を即座に切り、ロゼの縄も切り解く。
「ロゼ様、急ぎましょう!」
「ですが・・」
禾憐の言葉に首を横に振るロゼ。
「早くして!武器無しだと流石に・・」
馬車の荷台を背に、防いでいる状態のリース。
「ロゼ様!いい加減にしてください!!」
ガッと腕を引っ張って怒鳴る禾憐。

「援護するぜっ!!」
セイがリースの側に駆け寄る。
「って言っても、怪我人だけどな。」
セイの顔色は血を失いすぎたのか蒼白。呼吸も荒い。
「陛下を連れて逃げろ、急げ!!」

「は〜や〜く〜〜立ってくださいロゼ様!!」
腕をグイグイ引っ張っている禾憐。
「禾憐だけで逃げてください、私はココに・・」
スコン!!
ロゼの頭に鞘が当たる。
「いい加減にしろバカ!!」
セイが怒鳴る。
「バカとはなんですか!!私は・・」
咄嗟に言い返すロゼの言葉もしだいに小さくなっていく。
「バカにバカって言って何が悪い!!禾憐、行くぞ!!」 「う・・うん!!」
ロゼを担ぎ上げるセイ。
「離して、離しなさい!!」
バタバタと暴れるロゼ。
「却下!!」
荷台から降りようとするセイに禾憐も続く。
「どうしてですか!!私なんて・・」
「オレがアンタを必要としてるんだよ!!文句なら後で幾らでも聞く、だから生きて帰るんだよ!!」
半ばヤケクソ気味に怒鳴り荷台の外へ飛び降りる。

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