《MUMEI》 実家がある地域くらい、容易にわかるものだと思っていた。 しかし、その考えは甘かったのだと二人はすぐに思い知らされた。 初めに見た記事は疎か、他のサイトの物を見ても、そこに書いてあるのは殺害現場の場所だけだったのだ。 「くそっ!」 司は苛立ちながらも、どこかにあるはずだと次々に他のサイトをクリックする。 優香も、暫くは黙ってそれを見ていたが、ふとある事を思い付いた。 「ねぇ、このままだと拉致が開かないし、余り気が乗らないけど… あの管理人に聞いてみるのはどうかな?」 「どの管理人?」 「霊道の扉…」 すると、さっきまでカタカタ動いていた司の指が止まった。 「あいつに?」 当然会った事などないが、以前の一件でそのサイトの管理人はヤバい奴だと感じていた司は、怪訝な顔で優香を見る。 しかしそれは優香も同じ。 それを承知の上での提案だった。 「私だって怖いけど、あの管理人さんだったら何か知ってるかも。 少なくとも…」 「こんな一般向けの記事よりは知ってるかも…か。」 「うん…。」 司はため息をつきながら、椅子に深く座り直す。 少しの間の後― 「それしかないな。」 そう言う前に、もう司の指はキーボードを叩いていた。 前へ |次へ |
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