《MUMEI》 報告「えぇーーーっ!?」 大学時代からの親友である千夏と美幸が声を揃えて叫ぶ。 「別れたっていつ!!」 千夏が噛みつくように聞いてきた。 「一ヶ月前かな」 「一ヶ月も前っ!?」 美幸が驚いて言う。 「さては、私が太一の話題を出さなかったら言わないつもりだったでしょ!」 千夏が鋭い質問をする。 「まぁまぁ落ち着いて。愛加もすぐに言う気になれないわよね?」 美幸はいつも仲裁役。 「別に隠すつもりなんてなかったのよ!」 そして私は言い訳。 「別に全てを報告する義務なんてないのよ」 千夏が言う。 「でも…一ヶ月も一人で抱え込むなんて水くさいよ…私は愛加のことが配なの!」 相変わらず千夏は人情派だなぁ。 「愛加は不器用だしね」 美幸が付け加える。 「不器用…かぁ…」 不器用って言葉は簡単で便利だ… 「太一とは一年くらいだったよね?うまくいってるように見えたんだけどな…」 千夏が悔しそうに言う。 「そもそも何が原因だったの?」 美幸が申し訳なさそうに聞いてくる。 「たぶん私の…わがままかな…」 そう、全部私のわがままで私の甘えのせい。 前へ |次へ |
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