《MUMEI》 鈴リィン― ? 私の耳に、小さな、澄んだ音が聞こえた。 リィン リィン よく耳を澄ませると、それは一つではなく、いくつかの音が重なっていた。 音は徐々に大きくなる。 「…何?」 不意に、音が止まった。 そして 「お待たせ、ゆき」 リィン リィン… 音と、銀色の光と一緒に、紗己さんの声がした。 銀色の光が、晶が動くたびに、あの、鈴のような音が聞こえた。 「晶?」 リィン 私の質問に答えるように、音が一つ響いた。 「晶君は、喋れないの」 紗己さんが説明した。 「そう、なの?」 リィン また一つ音がした。 「でも、…どうして? 力が無くなったから?」 私のせいで晶が喋れなくなってしまったかと思うと、悲しくなった。 「それは…わからないけど… とりあえず、晶君の片手と片足に、鈴を付けさせてもらったの。 これで、晶君が部屋のすぐ外にいてもわかるでしょう? さすがに、いつも…お風呂やトイレまで一緒に、とはいかないでしょう?」 「…うん」 正直、トイレだけは無理だと私は思い、頷いた。 「でも、着替えやお風呂は大丈夫よ?」 前へ |次へ |
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