《MUMEI》
お気に召しましたか
***

暫くすると

王女様は

空になったカップを

静かに置いた。

「お気に召しましたか」

「ええ、とても」

王女様は

ニッコリ笑った。

僕は

街の入口まで

送る事にした。

「いいのですか?」

「はい、もちろんです」

「──なぁ、王女様はマラドーナから汽車で来はったんですか?」

「ええ」

「大変やなかったですか?」

「普段はあまり外出できませんから、たまにお城を抜けて出かけるのが楽しいのです」

「そか‥、あ、そや」

アルミンさんは

小枝を拾うと

地面に

複雑な魔法陣を描きだした。

それは

光り出して

ゆっくり

浮上った。

「これは‥?」

「えと‥、簡単に言うと乗り物みたいなもんです。良かったら使うて下さい」

「ありがとう」

王女様は

お城に

帰って行った。

***

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