《MUMEI》 久しぶりに触れてきたからだろうか。 それとも、紗己さんがいるのに、こんなお願いをされて珍しく困っているのか。 晶の手はためらいがちに、私の体に触れた。 そのまま、晶は、優しく私を抱き締めた。 (やっぱり、痩せた) 力を失うと、体型も変化するのだろうか。 以前より、晶の胸板が薄くなった気がした。 それに、全体的に、少し小さくなった気がした。 晶の胸に耳を寄せると、いつも規則的に動いている鼓動が、何故か早かった。 「…晶、人間みたい」 私がポツリと言うと リリリリィン! いくつもの鈴が同時に音を立て、晶が私から離れた。 「…晶?」 「晶君は、あなたと同じようにいろいろ戸惑ってるのよ」 すかさず紗己さんのフォローが入った。 「だからね、あまり前みたいに不用意に密着しては駄目よ」 「? でも、晶には私の精気が…」 「駄目よ!」 『必要なのに』と言おうとしたら、紗己さんに怒鳴られた。 「紗己さん、痛い」 「あぁ、ごめんなさい」 紗己さんは私の両肩を掴んでいた手を離した。 「今の晶君は、体が人間に近いみたいだから、大丈夫よ」 前へ |次へ |
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