《MUMEI》
昼下がりの憂鬱。
二日後、
わたしは迷って居た。


冷蔵庫の中身が少なくなっているから、アキはもうすぐ買い物に行こうと声をかけて来るだろう。

だけど、変な店員さんに遭遇してしまったわたしは、いつものスーパーへ行くことを躊躇ってしまう。




変な店員=飯嶋さんのことはまだアキには話してない。

特に話すきっかけもなかったし、「ただテンションの高い店員なんじゃん?」って云われるオチは読めてたから。



仕方ない、か。

今日はアキと一緒に行くんだから、そこまで警戒することも無い様な気がしてきた…。




「なーに呟いてんのよ」

洗面所からフェイスタオルを手にしたアキが、ツカツカとわたしの側へやって来た。

そして、そのスラッとした足を投げ出す様に、ソファに腰掛ける。


「さっぱりしたから買い物行こっか」

「いいけど、その言葉の繋がりの意味分かんないよ」

わたしは思わず吹き出してしまう。



「細かいことは気にしない気にしない。さぁ、あと5分で出るよ」

「…は?5分は無理だよ。ファンデくらいは塗りたいから、10分はないと」

「ほ〜ら、そんなこと云ってるうちにもう8秒くらい経ってる」


アキが時計を指差し、ニヤリと笑いながら自室に入って行ったのを見て、わたしも慌てて外出の準備を始めた。

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