《MUMEI》

考えて、神は大きなため息をついた。

自分は何て浅ましい生き物なのかと、自己嫌悪に陥った。


だから、紗己の提案は正直助かった。


もし仮に、ゆきに『精気あげるね』などと言われ、

生き血の時のように無防備に肌を晒され…

『…吸って?』などと頼まれたら…





神はまた大きくため息をついた。


晶の記憶の中の、ゆきの淫らな姿を思い出すなんて…

「最低だ」


自分が嫌になった。


そして、反応しかけた…している自分の下半身も。


「最低だ」


神はまた呟いた。


無言で側にいて

晶のように振る舞い

性欲など、もってのほか


これは、想像以上に困難な事だ。

そして、神の

自分の醜い欲望との、長い長い戦いの日々が始まった。

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