《MUMEI》

レイは酒井さんから聞いたことは既に承知の上でこの犬を押し付けるつもりらしい。

「誰と寝たの?」

「駄目?」

レイに触ろうとしたら払われた。

「誰かに触った手で触らないで。私は貴方のものじゃないのよ。」

いつもの正論だ。

「笹川のもの……か?俺はどうでもいい存在?」

いつも俺を思ってくれていたのに、もう変わってしまった?

「国雄の好きはどの好き?勘違いしてない?」

「好きは好きだよ」

だから、抱きたいと思う。触りたいと思うのに。

「私は貴方の好きな色?それともペット?ママかしらね…………また来るわ、ベイビィちゃん。」

レイは俺を愛していないのだろうか。

俺とレイは平行線。

レイと俺を繋ぐ接点は昭一郎。
そんな俺だから昭一郎につい、縋ってしまう。

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