《MUMEI》
咲喜
俺は病室の扉を開ける。


「お兄ちゃんっ」


咲喜が百合が咲いたような優しい笑顔で俺を迎えた。


「咲喜。調子は良いのか?」
「うん!」

俺は咲喜が好きな百合の花を花瓶に移した。


「お兄ちゃん。人魚さんは見つかった?」


「まだ。大丈夫、きっと見つかるよ」


俺は不安そうな顔をしている咲喜の頭を撫でた。


「咲喜の病気は治るのかなぁ。咲喜も皆と遊びたいよ……。」



「……」


俺は咲喜の髪の毛をくしゃっとしてから、言った。



「よしっ!兄ちゃんにまかせとけっっ」



「うん!!」



「……いつになるか分からないけど、必ず人魚の涙をもらって来てやる。……約束な。」



咲喜と俺は指切りをして、そのあと二人でリンゴを食べた。







「じゃあ、そろそろ行くよ。」


俺は立ち上がる。


「うん、じゃあね。」


「じゃあな」






俺は病室の扉の取っ手に手をかけた。


「お兄ちゃんっ!……ありがとう。」


振り向くと咲喜が手をふっていた。
俺は咲喜に優しく笑いかけ、手をふりながら病室からでた。

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