《MUMEI》 お粥がある方向に、息を数回ふきかけ、ゆっくりと口へ運んだ。 お粥は柔らかく煮てあり、丁度いい塩加減だった。 「晶。 美味しい」 リィン 晶は大きく鈴を鳴らした。 人間と同じように食事をするようになった晶は、私と紗己さんと食事をするので、さっきから小さく鈴が鳴っていた。 (不思議) 私が、晶が作ったお粥を食べるなんて。 「フフッ」 「ゆき?」 「何でもない」 「そう?」 紗己さんは不思議そうだった。 そして、紗己さんはできるだけ音を立てないように食事をしていた。 私は晶が最初に私に作ったお粥を思い出していた。 晶は人間でないから、味覚が違うのかと思った。 そもそも、晶が料理をしたところなど見たことが無かったし。 晶が私の為にときっと一生懸命作った最初のお粥は… 米はまだ固くて、その割に水は多くて… 信じられないくらいしょっぱかった。 私は頑張ってそれを一口飲み込んだが… 味見した紗己さんは、吐き出した。 それから、紗己さんは激怒して、晶の指導をしたらしい。 日を重ねるにつれ、晶のお粥は食べられる物になった。 前へ |次へ |
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