《MUMEI》 害虫駆除神がお粥だけはかろうじて作れるようになった頃。 ゆきの部屋から出てきた神は、暗い廊下で声をかけられた。 「やぁ、神。…あ、晶だっけ? 今は」 片手をヒラヒラと挙げてヘラヘラ笑うのは、 地の『守護神』―右近だった。 相変わらず無言で、水の『守護神』―左近も、隣に立っていた。 神は右近の口を押さえ、睨みつけると、一瞬手を離すと、今度は右近と左近の服を掴んでゆきと紗己が寝ている隣の部屋に 神の部屋となった部屋に、二人を引っ張った。 昔から体を鍛えていた神は、体の線は細いが、見た目よりはるかに腕力はあった。 「どういうつもりだ?」 入口をゆっくり閉めながら、神は小声で質問した。 「ん? ゆきちゃんのお見舞いに来ただけだよ」 「こんな夜中に?」 ゆきが寝たのを見計らったように、現れておいて見舞いも何も無いだろうと神は思った。 この二人は、要注意人物だった。 『守護神』として力が欲しくてゆきを求めた明良と違い 右近は『面白そうだから』 左近は『好みだから』 と言う理由で、ゆきに手を出そうとした。 特に 左近は、媚薬を盛られて無抵抗のゆきを裸にして、抱き締めた前科がある。 前へ |次へ |
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