《MUMEI》

神の予感は的中した。

「前からあの子、いいなあと思ってたんだよね。

お世話してもらおうと思ってさ。

左近は、ずっとゆきちゃんが気になってたし」


右近が言う『あの子』とは…


ゆきの隣で眠っている紗己の事だった。


神は右近が翔子に手を出そうとして、失敗した事を知っていた。

そして、男の『守護神』達が、自分の世話役に夜の相手も時々させているという報告も、以前神は受けていた。

右近の世話役は、艶のある大人の女性で、左近の世話役は童顔で少女のような女性だった。

紗己は背が高く、凛とした大人の女性で

ゆきは、童顔で、可愛らしい女性だった。


つまり


「俺の事を黙っているかわりに、ゆきと紗己を抱かせろというわけか」

「そういうこと」

右近はサラリと認め、左近も無言で頷いた。

ピリッ

神は右手に力を感じた。

まるで、神の気持ちに反応するかのようなこの力は…

「じゃ、いこ…うっ?!」

立ち上がろうとした右近は、神に押されて仰向けに倒れた。

そのままピクピクと痙攣を起こしている。

「…残念だったな」

青ざめる左近に近付き、神は右手で左近の体を軽く押した。

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