《MUMEI》 誕生日「そう言えば、ゆきの誕生日っていつ?」 珍しく雪が積もった朝。 何気なく、紗己さんが質問してきた。 「さぁ…」 私の誕生日は、亡くなった両親しか知らない。 私は、物心ついた時には施設で義母と生活していた。 「さぁって…」 「一応、私が施設に捨てられてた日が、誕生日だけど…」 本当の誕生日ではなく、義母が決めた、今までの誕生日に義母はケーキとプレゼントを用意してくれていた。 「それって、いつ?」 「二月六日」 「えぇ?!」 紗己さんは驚いて、続けた。 「それって… 今日じゃない!」 「そうなの?」 私は日付けの感覚が無かった。 クリスマスや正月は、いつもと違う料理が出たから、わかったが、その後は曖昧だった。 「そうよ! あぁ、どうしよう!」 「紗己さん、私は別に…」 『何もいらない』と言おうとした時… リィン ふすまの外で、鈴の音がした。 「はい。…えっ…どちら様?」 ふすまを開けた紗己さんは、戸惑っていた。 鈴の音と銀色の光から、晶がいるのはわかる。 後一人、誰かいるらしい。 「誰?」 この部屋に二人以外の人間が来たのは初めてだった。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |