《MUMEI》 それは、私が最近毎日考えていた事だった。 体力が回復するにつれて、私は思考力も戻ってきていた。 『これから』 目も見えず 『守護神』の力もなく 一人では、何もできない私 このまま 紗己さんに甘えて 晶に守ってもらって 毎日をただ過ごすだけでいいのだろうか? きっと 紗己さんと晶はこのままでも何も言わない これは、これで、幸せだ。 (でも…) 「ずっとこのままじゃ、いけないと思う」 私は、汐里にだけ、本音を言った。 「ゆきは、そう言うと思った」 汐里は明るく言った。 「目が見えなくても、一人で生活してる人もいるしね。 何となく、ゆきは一生守られてるタイプじゃないと思って」 「うん」 (そうだ) 汐里に言われて、思い出した。 私は、守られるより …守りたいのだ。 施設で育った『身内』を、友達を 紗己さんを …そして 晶を。 だから私は… 戸惑いながらも、『守護神』になった。 今はもう、力は無いけれど、それでも、やはり守りたい想いは消えてはいなかった。 「ありがとう、汐里」 忘れていた気持ちを思い出させてくれた友達に、私は頭を下げた 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |