《MUMEI》

「どういたしまして

ゆきが、わがままお嬢になってなくて安心したよ。

…頑張ってね。

私も、毎日頑張ってるから」

汐里は今は大学生だ。

将来は、教師になるのが目標らしい。

「汐里なら、きっといい先生になるよ」

「ありがとう。

また、…は、難しいみたいだから。

晶君、かなり今回大変だったみたいだし」

「そうなんだ…」


確かに、汐里がここに来るのは難しい。


今回だって奇跡に近い。


「…そうだ! 忘れてた」
「?」

汐里はガサガサと、紙袋?から、何かを取り出した。
「これこれ!」

汐里は私の手を取り出した物に乗せた。

(本? でも…)

普通と違う感触。

「凸凹…?」

「うん、点字!
道具とテキスト持ってきたの、忘れてた。

これ、私も今勉強してるから、ゆきも一緒にやろう?
そうしたら、手紙でやりとりできるから」


汐里とやりとり…

(点字なら、普通の人達はわからないし)


「…うん、やる!
でも、勉強っていっても…」

「音声指導テープも持ってきた!」


私は、荷物の中にラジカセがあったのを思い出した。

「ありがとう、汐里」

私は、汐里からの誕生日プレゼントを受け取った。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫