《MUMEI》 *夢*それから あたしは 夢を見た。 小さい頃── 咲也と初めて会った時の夢‥。 『──ナカちゃん、あそぼう!』 『え‥?』 『カスガオカ ナカちゃん‥だよね?』 『‥‥うん』 『ぼく、キサラギ サクヤ。ナカちゃんはさくらぐみだよね、ぼく、もみじぐみなんだ』 『ねぇサクヤくん、きょうきたの?』 『うん。ぼくね、おひっこししてきたんだ。とおいまちから』 『とおい‥まち?』 『ぼくのママ、おしごとでいろんなとこにいかなくちゃならなくてね、だからぼく、あんまりおなじまちにいられないんだ』 『じゃあ、また‥いっちゃうの?』 『ううん、このまちにはながくいられそう』 『よかった‥』 『あのさ、ナカちゃん』 『?』 『おともだちに、なってくれる?』 『うんっ。おともだち、おともだち♪』 ──ずっと 一緒にいられる‥ そう思ってた。 だって いつも一緒だったから そんな事‥ 考えた事もなかった。 あたしは‥ ただ 認めたくなかったのかも知れない‥。 咲也と 離れ離れになる事を‥。 前へ |次へ |
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