《MUMEI》
*夢*
それから

あたしは

夢を見た。

小さい頃──

咲也と初めて会った時の夢‥。

『──ナカちゃん、あそぼう!』

『え‥?』

『カスガオカ ナカちゃん‥だよね?』

『‥‥うん』

『ぼく、キサラギ サクヤ。ナカちゃんはさくらぐみだよね、ぼく、もみじぐみなんだ』

『ねぇサクヤくん、きょうきたの?』

『うん。ぼくね、おひっこししてきたんだ。とおいまちから』

『とおい‥まち?』

『ぼくのママ、おしごとでいろんなとこにいかなくちゃならなくてね、だからぼく、あんまりおなじまちにいられないんだ』

『じゃあ、また‥いっちゃうの?』

『ううん、このまちにはながくいられそう』

『よかった‥』

『あのさ、ナカちゃん』

『?』

『おともだちに、なってくれる?』

『うんっ。おともだち、おともだち♪』

──ずっと

一緒にいられる‥

そう思ってた。

だって

いつも一緒だったから

そんな事‥

考えた事もなかった。

あたしは‥

ただ

認めたくなかったのかも知れない‥。

咲也と

離れ離れになる事を‥。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫