《MUMEI》

「あれ? 紗己さんは?」

私は足音が二人分しかないので、首を傾げた。

すると…

バタバタと廊下を走る音が聞こえてきた。

音は徐々に近付いてきた。
しかも、それは、一人だけでなく、複数の音のようだった。

「お待たせ!」

「「「お誕生日おめでとうございます! ゆき様!」」」


「あ、ありがとうございます…」


最初の声は紗己さんだ。


次に聞こえた複数の女の子達の声は、


(もしかして…)


「あの、…着替の時の?」
『黄』の女の子達?

「「「そうです!」」」

三人は、声を揃えた。


この三人が揃うと言うことは、


「うわ、綺麗な着物ですね!」


汐里が歓声を上げた。


「着物?」


「そう。 あ、晶君、外で人が来ないかちゃんと見張ってね」

リィン


すぐに晶は出ていった。


「さ、ゆき」

紗己さんは、いつかのように、私に『脱いで』と言った。


そして私は、紗己さんに言われるまま服を脱いだ。


「また痩せた? でも…」

「キャッ」

紗己さんが私の胸や腰をぺたぺた触って確認したから、私は思わず悲鳴をあげた。

「相変わらず、胸はあるわよね」
「紗己さんセクハラ」×4

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