《MUMEI》

紗己さんと私以外の

三人の女の子達と汐里が、口を揃えて言った。

「何よ〜、セクハラっていうのはね」

「ちょ、紗己さん…っ…〜」

紗己さんが私の胸を掴んで、軽く揉むから

「あっ…っ…や、だ…」

(恥ずかしい)

―変な声が出た。


ゴクリ。


誰かが、唾を飲んだ。


「ちょっと見ない間に大人になったのね、ゆき」

「何、急に?!」

汐里がしみじみ話しかけてきたから、私は驚いた。


「いや…もう、何か…」

「とにかく、早く着替えていただきましょう」

「そうしましょう」


三人の女の子達は口々にそう言って、テキパキと動き始めた。


「…ごめんなさいね。冗談が過ぎたわ」


紗己さんは申し訳なさそうに言った。


「もう…」

「女の子にドキドキしちゃったわ。
危ないから、もうやめるわね」

「な!」

(何? 危ないって?)

私は、言いかけて、言葉を飲み込んだ。

何となく、知らないままでいたほうがいいと、本能が告げていた。


「ところで、この着物どうしたの?」


私は話題を変えた。


「ん? 最近翔子様、和服にハマっててね。
相変わらず、一度袖を通しただけの着物余ってたの」

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